コーヒー の味は焙煎(ロースト)によって大きく変化する
コーヒーの味を決定づけるのは産地銘柄よりも焙煎度と言えます。今でも根強く産地銘柄信仰のようなものがありますけど…例えば、モカは酸味・豊かな香り、マンデリンやコロンビアは苦味、ブラジルは中性の味などと言われたりしますね。
とは言っても、モカは酸味が持ち味といっても、深く煎れば酸味は早々に消えて苦味が出ててくるし、苦味がウリコロンビアだって浅く煎れば酸味はきつめになります。
特にその豆の酸味をより強く引き出すか、苦味を強く引き出すかは焙煎によって大きく左右されます。
そして、産地銘柄…その豆が潜在的に持っている味覚特性は焙煎によってでしか引き出せないのです。豆によって味覚特性が出やすい焙煎度や焙煎の仕方が変わってきますので、それを上手く引き出すのが焙煎(ロースト)であり、焙煎士のウデの見せどころと言えます。
焙煎によるコーヒー豆の変化
焙煎されたコーヒーの香気成分は1,000近くもの成分が存在するということが明らかになっています。これらの成分は個性あるコーヒーの香りとして、調和のとれた香気(アロマと呼ばれる)を生み出します。
焙煎される前の乾燥した生豆(生産国から輸出されるときの状態)は淡緑色で、コーヒーらしい香りはまだ感じられません。コーヒー豆は焙煎によって色味や成分が大きく変化していきます。主にタンパク質、ショ糖、クロロゲン酸が大幅に変化し、これら3成分が色・味・香りに大きな影響を与えます。
焙煎の8段階とその特徴
焙煎(ロースト)は火の入れ方・加減によって大きく8つの段階に区別されます。各焙煎度で、色味や風味が変化していきます。
※焙煎度の考え方、呼び方は場所によって微妙に違います。以下はNIJIYA基準です
浅煎り
①ライトロースト
最も浅炒りで、黄色がかった小麦色。香り、コクは薄くほとんど飲まれることはない焙煎度。
②シナモンロースト
シナモン色。香り、酸味をはっきり感じることができます。スペシャルティコーヒー界では度々見られる焙煎度。
中煎り
③ミディアムロースト
栗色。苦味よりも香り・酸味・甘味などを強く感じます。香りに特に特徴のある豆はこの焙煎度で仕上げると、より楽しめます。
④ハイロースト
栗色とこげ茶色の中間程度の色。香り、酸味がさらに強くなります。個人的には酸味と苦味の感覚が並ぶのがこのあたり。そのコーヒー豆の個性を知るには一番良い焙煎度と思います。
深煎り
⑤シティロースト
こげ茶色。シティはニューヨークシティから来ています(ジャーマンローストとも呼ばれます)。 一般的によく使用される焙煎度合でもあり、苦味・コクがやや強めになりつつも、香り・酸味・甘味も十分に感じる焙煎度。調和のとれた味わい。
⑥フルシティロースト
表面にうっすらと油が出てきます。アイスコーヒーは、この焙煎度あたりから使われます。 酸味の存在感は薄れていき、苦味やコクが強くなります。マニアックな話、苦味の「タイプ※」がこのあたりから変化します。
極深煎り
⑦フレンチロースト
油が滲み出てテカテカに。カフェオレやウィンナーコーヒー向きと言われます。苦味の「タイプ※」は〜⑤に比べ、かなり変わります。アイスコーヒーやエスプレッソの苦味としてお馴染み。
⑧イタリアンロースト
色は黒く、焦げ臭が強め。かつてエスプレッソ向きと言われた焙煎度。
※苦味の「タイプ」…コーヒーの主な苦味のもと成分と呼ばれるクロロゲン酸が、加熱により化学変化することで、苦味の質が大きく変化します。⑤〜あたりから変化していき、⑦〜からはほぼ質が変わってしまっています。アイスコーヒー・昔のエスプレッソのような苦味に。
好みの焙煎度を見つけ、コーヒーを楽しもう
コーヒーの焙煎による味わいの違いを紹介しましたが、人によってもちろん好みは分かれます。
コーヒーの苦味が好きな方は深煎り、酸味が好きな方は中煎りがオススメ…という話になるのですが、焙煎度による微妙な変化を意識すると、コーヒーの味わいをより楽しめますよ!
ぜひお気に入りの焙煎度を探してみてください。
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