「Moku Rin Cafe」に参加しました!
7月27日に、村上地域の森林がもつ可能性を探る「Moku Rin Cafe」という意見交換会(村上市主催)に参加する機会がありました。
有数の林業地であるにもかかわらず、担い手不足情報発信の難しさなど課題を多く抱えてる自治体は村上市だけではなく、日本の地方のほとんどはこの問題に直面しているのではないかと思います。
村上市でも総面積85%を占める森林の活かし方について、林業関係者だけでなく、さまざまな人の意見を取り入れ、イベント等に反映していく取り組みが始まっているみたいです。
私はもちろん、林業や木材加工に関しては全くの素人で、参加のお話をいただいたときは正直「私でいいのか?」と思いましたが、個人的に今最も関心がある地球環境保護にも関連することで、村上の森が今どうなってるのかめちゃめちゃ気になると思い、参加させていただきました。
意見交換会は、1テーブル5人ずつのチームに分かれて行うワークショップ形式で、与えられた課題に対してチーム内で意見を出し合うという進め方。
メンバーは、製材所や木材加工会社、森林組合など、林業と直結するお仕事の方がほとんどですが、地域おこし協力隊の方や市内のデザイナーさんなど、私も含め森林と直接的に関わりのない方もいらっしゃいました。
あえて多様な意見を取り入れたいという主催者側の意図を感じ、私も今の自分の視点で感じていることを素直に出そうと決めていました。
課題は、全部で大きく分けて2つあり、
一つ目は「村上の森林・林業の魅力と課題」、二つ目は「村上の森林・林業を活かすアイデア」というもの。二つ目の課題は、途中グループメンバーをシャッフルし、新しいメンバーで意見をまとめました。

グループセッションで、しかもはじめに付箋用紙に意見を好きなだけ書いて、後で大きな紙にペタペタ貼りながら意見を述べあうというやり方なので、
トークがとにかく苦手で、こんな少人数の規模でも緊張してしまうタイプの私でもとにかく意見が言いやすかった!
また、今回の内容があまり専門的な知識が必要なわけではなく「こうなったらいいな」という夢の話が中心だったので、とても楽しく参加できました。
なにより、林業の関係者の方たちと直接お話しする機会を得たのは、私にとってとても大きな収穫。抱えている課題や現場のリアルな話を共有してもらえて、とても有意義な時間を過ごしました。
村上市がどんな森づくりを計画してるのか、調べました!
今回のワークショップに参加したことがきっかけで、個人的にも村上市の森林の現状や課題について知りたくなり、検索してみると…
ありました!
村上市のホームページに、令和3〜12年度までを期間とした「村上市森づくり基本計画」(2021年4月1日更新)がアップされていて、まさに今課題解決のために関係者一体となって動き出していることがわかりました。
(こちらからダウンロードできます)
というか、Mku Rin Cafeのような一般の人を含む意見交換会が開かれたのも、そういった流れからなのだと思います。
実際目を通してみて、林業に関するこれまでの経緯や現状、山北・朝日・村上・神林・荒川の5地域ごとの特徴など、身近な話題でも初めて知ることが多く勉強になりました。
適切に管理されていない人工林が多いことや、担い手が不足していることなどは、当初の私の予想どおりだったのですが、
意外だったのが、
・村上市の民有林のうち、広葉樹が主体の天然林が一番多いこと
・H22以降、林業従事者は減っているものの、女性の従事者数が増えていること(H27まで)
などでしょうか。
間伐後の植栽がコストや維持管理の関係でうまく進んでいないことや、森林情報をそもそも正確に把握しきれていない点など課題は山積していて、だからこそ、今こういった政策がスタートしているのだと思います。
個人的に、最近熊や猿や猪が民家までやってくる被害が多いので、山の奥の方にどんぐりや栗など食料になるような木をいっぱい育てればといいのに。。と思うのですが、そんな単純にいかないのかな…
木質バイオマスって、どうなんですか?
「森づくり基本計画」の中で気になったのが、「木質バイオマスエネルギーを利用する」という各種取り組みについてです。
村上市では、「化石燃料の使用量を抑制するため」や「地域内で森林資源を持続的に循環させるため」「雇用創出のため」などを理由に、市産材を使ったエネルギー利用を計画に盛り込んでいます。
再生可能エネルギーの活用は、国が促進していることであり当然の流れなのかもしれませんが、ヨーロッパでは、今年の1月にEU政策当局が「森林バイオマスはカーボンニュートラルではない」と公式に文書を公開し、話題になっていることを知りました。
そもそも燃料を大量に使用するバイオマス発電を地球温暖化対策として拡大推進していくべきなのかについて、科学者や環境団体の間では長い間議論されてきた経緯があるようですが、EU当局が森林バイオマスに対してこれまでと逆の見解を示したというのが、まずかなりインパクトの大きいことで、今後、世界中の環境対策に影響を与えるのではないかと思います。
現時点で、村上市の木質バイオマスエネルギーの活用は、木材のカスケード利用(※)を基本にするようなので、違法伐採が特に問題視されているヨーロッパの事情とはもちろん違います。
とはいえ、「木は伐採されるまで体内にCO2を固定してきたため、焼却してCO2を発生しても、また植林すればカーボンニュートラル」というこれまでの定説が覆ったことは、そもそもこの計画自体を見直す必要があるということなのでは?と思うのですが…どうなんでしょう。
7月25日第956号「いわふね新聞」の、村上市が横浜市の小型バイオガス発電運営事業所と「災害時における木質バイオマス発電設備による電力供給に関する協定」を結んだ(しかも無償で)、という記事も気になります。。

※カスケード利用…木材を建材等の資材として使用した後、ボードや紙類の利用を経て最終段階では燃料として利用すること
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