村上市内で、子どもたちやそのご家族向けに絵本の読み聞かせや、その他ユニークなイベントを開催する「みんなのエルフ文庫」さんが15周年を迎えます。
その記念として、エルフ文庫さんの活動の一環である「朝日deシネマ」では「レイチェル・カーソンの感性の森」が上映されることになりました。
私も当日まで準備をお手伝いさせていただくことになり、今からわくわくしています。
上映会は10月10日(月・祝)、場所は村上文化会館(村上市岩沢)を予定しています。

レイチェル・カーソンについては、名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
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レイチェル・ルイーズ・カーソン(1907~1964)
アメリカ合衆国のペンシルベニア州に生まれ、1960年代に環境問題を告発した生物学者。
アメリカ内務省魚類野生生物局の水産生物学者として自然科学を研究した。
農薬として使う化学物質の危険性を取り上げた著書『沈黙の春』(Silent Spring)は、アメリカにおいて半年間で50万部も売り上げ、後のアースディや1972年の国連人間環境会議のきっかけとなり、人類史上において、環境問題そのものに人々の目を向けさせ、環境保護運動の始まりとなった。
【出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』】
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恥ずかしながら私は、「レイチェル・カーソン」という名前よりも、「沈黙の春」でやっとピンときた!くらいの認識で、、
これまで彼女に関する本を読んだことはなかったので、その後近くの図書館で探し、伝記なども含めて5冊を借りることができました。
さらに先日、この映画を上映するための試写会も行い、その世界観をたっぷりと堪能。
これだけのベストセラーになっているので本の内容が素晴らしいのはもちろんなのですが、彼女が本を書き上げるまでの私生活、特に、決して執筆に集中できる環境ではなかったにもかかわらず、それをやり遂げた意志の強さに圧倒されたという印象です。
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以下、私の個人的な感想ですが、ネタバレにつながる可能性があります。
映画の内容に関することすべて、知識なしで映画を観たい方は、これ以降は読まずに今後のご案内をお待ちください。
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「沈黙の春」に関する評価や社会現象について耳にすると、もしかしたら彼女が過激な環境活動家であるかのようなイメージを持つ方もいらっしゃるかもしれません。
そうじゃないことは、この映画や彼女自身の本を読むとわかります。
時間をかけてきめ細やかに木々や植物や鳥たちを観察し、生物学者として専門的な学問に落とし込んでいるのに、何かを「わかった」と決めつけない謙虚さ。
それこそが、私の思う彼女の最大の魅力です。
家族の事情、身体の不調を理由にしないこと。
誰かのせいにせず、あらゆるものに対して敬意を払い続けながら、やりたいことをやり遂げる意志の強さはどこからくるのだろう、とつい思ってしまいます。

個人的に興味深かったのが、作家としての才能と、大学の必修科目で渋々選択した生物学が彼女の人生を変えたということ。
一つではなく、この二つがかけ合わさって彼女オリジナルの才能を開花させたのだと思いますし、理論だけでなく、心からの敬意や愛情がなければ「沈黙の春」やその他の書籍は世に受け入れられることはなかったのでは、と思ってしまいます。
「主題が作者を選んだ」という言葉は、とってもしっくりきます。
映画や本を通してレイチェル・カーソンの人間性に興味をもつ方が増えるといいなと思います。
環境問題を考えるきっかけは今やどこにでもあり、ここでその重要性を訴えるつもりはありません。
でも、60年代、効率的な利益追求が優先され、人間の生活が便利になることで幸せになると誰もが信じて疑わなかった時代。
その裏側で起こる「不都合な真実」を文字で伝えたという彼女の勇気ある行動が、現代の環境に関する運動や呼びかけにつながっていることは間違いなく、そのきっかけを作った人の
根底にある優しさや孤独、焦燥や希望をリアルに想像してみてほしいと思います。
1965年出版の「センス・オブ・ワンダー」を元にした2008年の映画(日本での初上映は2011年)ですが、内容が古いとは全く感じませんでした。
当日の上映は、無料ですのでぜひ多くの方に観てもらいたいと思っています。
詳細決まりましたら、またお知らせします。
今、この時代を生きる人たちが、前に進むためのきっかけや材料になれば幸いです。
10月10日の映画上映後、映画の感想を共有できる場を設ける予定です(希望される方だけ)。
私の場合は、事前にレイチェル・カーソンについて少し予備知識があった状態で映画を観たので、それがない方はどんなふうに感じられるか…、その違いも共有できたら嬉しいと思っています。
「レイチェル・カーソンの感性の森」公式サイト:https://www.uplink.co.jp/kansei/
※DVDの写真以外は、イメージ映像です。
映画の内容とは関係ありません。
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